デジカフェの女性の日記のログ

あえてバカな女になってやったわ
本 文 摩耶観光ホテルという言葉を検索してみて。

神戸市にある、とっても美しい廃墟が山の中腹にあって
廃墟マニアにはもう有名な聖地とされてるの。

貴方はそこに、年間60回以上も通っている有名人。

一度内緒で、私を現地に連れて行ってくれたことがあったよね。

もう一度行きたくて、一緒にまた行こうと約束したけど
貴方は来なかった。

一度登った山道なんだし、私一人でまたあの廃墟へ行こうと
思ったけど、所詮は素人で
見事に道に迷ったわ。

けもの道で熊笹をかきわけ、現在地もわからず
元の場所にさえ戻れない。

遭難よ。

頭の中は、家族の元に帰りたい事と、子供達の将来の事でいっぱい。
持ってるペットボトルのお茶の残量を節約しなくては。

だんだん日が落ちて、暗くなったらもう終わりと焦る。

助けてと、道に詳しい貴方に何度も電話やメールをしたけど
貴方は無視を決め込んだ。

いわば、私に死ねと言っているも同然。


下山してたら、偶然登山道に出て、そのまま無事下山できたけど、勝手に山に登る私も悪いけど

約束したのに現れなかった貴方も悪いし
必死で助けを求めてるのに無視する必要もないはず。


いいの、もう過ぎた事だから。


あれから一年。


今度は貴方が私に助けを求めてきた。

家賃も光熱費も払えない。
ガスはすでに止められた。
必ず返すから、今月の生活費を助けてくれ。


普通はそんなの無視よ。


でも、私は山での遭難の事があったから
私は貴方とは違い、ちゃんと耳を傾けたわ。

そして、わざとバカな女になってやった。

貴方はありがとうと、体を投げ出すような態度を示した。


いらない。



見た目は美しいか知らないけど
そんな状態の今の貴方では

ごめんなさい

私の相手ではないわ。