アニメ感想ブログ魚拓

屍鬼 (第20話) 傑作(0)
2011/1/5(水) 午前 1:12木曜アニメアニメーション Yahoo!ブックマークに登録 屍鬼

第20話「第腐汰悼話」


屍鬼の正体を暴き、村中に披見させた尾崎は、村民を先導して屍鬼狩りを始める・・・


屍鬼狩り「こいつらがやったんだな!息子を!・・・ここか?」「もう少し下・・・ここだ」「ぐああああっっ!」
「ぎゃあああ!}

尾崎に一連の奇怪な死の原因と屍鬼の正体をまざまざと見せられた村人たちは、理不尽に身内の命を奪われた悲しみと憎しみを屍鬼たちにぶつけます。

千鶴がゾンビだと見せられて存在を理解したとしても、同じ人の形をしている屍鬼たちを殺すのは躊躇があると思うけど、みんな結構サクサクっと殺してんなw
やはり、身内や知人の少なくとも一人は彼らによって命を奪われているという被害の多さが、全ての村人の憎しみと怒りに油を注いで躊躇をなくしているんでしょうかねえ。

それに一人殺してしまえば、あとはもう麻痺して機械的に殺してしまえるようになるんでしょうね。

尾崎ママ惨殺「あんたらも家族には注意させた方がいい。俺に対する報復だろう」

屍鬼たちが惨殺されている中、尾崎のママンの惨殺体が発見されます。

屍鬼たちの報復のようだけど、これは屍鬼たちの総意とは思えないですねえ。確かに前回、辰巳は大川の息子が尾崎の家に入って行くのを黙認していたけど、辰巳が指示していたようには見えないからねえ。

これは大川の息子がトンチンカンな自己判断でやったと見るべきですかね。何も考えていない証拠に、尾崎邸の2Fでのうのうと寝てるんだから、もう何も考えてないとしか思えないw

「アツシっっっ!このクソガキが!!」「お、オヤジ!?」「このガキ!大奥さんを殺しやがったんだ!ロクでもないガキだと思ってたが、ここまで腐ってるとは思わなかった!てめえの息子のやらかしたことは、てめえでカタつける野が親の責任ってもんだ!」「オヤジ!勘弁してくれよ!」


尾崎ママンを殺してから尾崎邸の2Fでのんびり寝ていた大川の息子。それを見つけた大川は激怒し、自らの手で彼を葬りました。

自分の不肖の息子がしでかした不始末の責任を親が取ると言って自ら殺すというのは彼らしい。自分の育てた子供の不祥事の責任を取るというのは親として至極当然のことなんだが、最近はこんなことでさえできない親が多いからなあ(-"-;)

自立してしまえば親の責任はないと言えるけど、それは真面目にキチンと自立できているヤツに対してだけだからねえ。不祥事ばかり起こしている子供は自立どころか人間形成が子供の状態なんだから、親が最後まで面倒を見るべきなんだよな。それが子供を育てるということなんだから。

正志郎vs夏野「なぜ邪魔をするんですか? 人狼になれたおまえがなぜ邪魔をするのか?失礼だがこの桐敷正志郎、理解に苦しむ!」
「俺は起きあがりを許すつもりはない」「屍鬼の存在は、世間一般の価値基準で言うなら悪なのでしょう。人を殺して生きているわけですから。でも、屍鬼が人を狩ってなぜいけないのですか?人だって人を狩るじゃないですか。私の父もそうだった・・・」「・・・・」「私は加害者になりたかった」

屍鬼たちが近寄れない神社に集結している村人たちを狙撃する正志郎と、それを阻む夏野。

正志郎が屍鬼たちに味方する根底には、父親に対する不信感と恐怖があるようですね。彼の父親はどうやら傲岸で横暴な人間だったようで、自分の感情の赴くまま他者を排斥するような人物だったようです。正志郎自身も排斥されそうになったようで、その時の恐怖と怒りから、虐げられる者よりも加害者になる方がマシだという思考に至ったようですね。

何とも我が儘な理由だけど、イジメられていた者はその程度にかかわらず死に直結するような恐怖を味わうから一生覚えているけど、虐められている方は精神が高揚して一種の酩酊状態にあるから幻想の中の出来事のように直ぐ忘れてしまうからな。その意識の乖離が憎悪を増大させるのだが、この分だと正志郎は屍鬼に味方したことで父親を殺していそうですねえ。

しかし夏野はどこからでも現れるなw 人狼になったことでどこからでも出没できる身体能力を持ったから、今後も色々な所に現れそうですなw

地下室に身を潜める首謀者たち「酷いことになっている。3割以上の連中がやられただろう。もう逃げた方がいい。と言いたいが、今は動けない」「でも・・・」「何とか退路を見つけてくるから、それまで動かないように」

さすがの辰巳も状況的にヤバイと感じているようですね。

まだ7割残っているのなら、まだ挽回の余地は十分にありそうだけどねえ。昼間はともかく、夜になれば身体能力は屍鬼の方が上なんだし、人間は身内だと殺すのを躊躇するだろうからねえ。それぞれ身内の前に複数人で現れて血を吸って操っていけばまだ反撃できそうだけど。

でももう計画がバレた時点で終わりと諦めたんだろうな。ここまでやってのける尾崎が生存している限り、どんな手を使っても防衛されそうだしねえ。さらに人狼となった夏野は尾崎以上に頭が切れてさらに屍鬼以上の能力を持っているという厄介さ。その上、身を潜めてほとんど表に出てこないので、辰巳にとっては潜在的な敵として無視するわけにもいかないからねえw

律子と徹「お願い。私かヤスヨさんか、どちらかを出して」「だ、ダメだ!」「襲いたくないわ。それをしたら私、私を嫌いになる。あなたみたいに自分を憎まなくちゃいけなくなるの」
「人が死ぬのは嫌なの!それが平気でいられるくらいなら、看護師なんかなったりしないわ!ずっと人を助けるために働いてきた。それが私の誇りだった!」「・・・・」

あくまで屍鬼としての生を拒む律子。その強靱な精神力と気高い志操の前に、徹は自らの小ささを突き付けられ、呻吟します。そしてついに律子の望み通り、ヤスヨを逃がしてしまうのでした。

思えば、徹がヤスヨを逃がし、ヤスヨが尾崎に屍鬼たちの隠れ家を話したことが、屍鬼たちの殲滅のきっかけとなったのだから、徹の変心がなければ尾崎たちの計画は破綻していたかもしれませんねえ。

しかし律子の精神は強靱だな。生き方が変われば志操も変わりそうなものだが、彼女にとって人を助けるというのはもう存在意義そのものなんでしょうね。それを否定されては生きていけない。その志操を自身が全く別の存在になっても維持し続けているというのは、彼女の志操が時間や場所の違いになどでは微塵も揺るがないことを示してますな。
時間が経ち、場所や状況が変われば人は自分に都合良く考えを変えるものだが、彼女はそういうことは一切しないんでしょうね。融通が利かないというのもあるかもしれないけど、いかなる状況でも信念を枉げないというのは並の人間に出来る芸当ではないですからなw

怯える沙子「私だって、好きでこんな生き物になったワケじゃない。でも、命があればそれは惜しいわ・・・それは私の罪なの?」

追い詰められて仲間が死んでゆく様子を聞いて、さすがの沙子も今更運命を呪い始めたようです。

沙子の嘆きは自分の命が危うくなってからの呻吟だからなあ。自分が優位な時は他者の死など自分が生きるのだから当然だと主張し、いざ自分が排斥されそうになると自分は好きでこんな生き物になったわけじゃないと泣き言を言い出す。

確かに理不尽にこんな存在にされてしまったことは哀れで不幸なことだけど、自分の身が危うくなったこの状況意外で自分の運命を呪っているようには見えなかったけどねえ。自分の運命を呪っている者は、どんなに気を紛らわせることがあっても常に心の隅にその想いが澱のように沈殿しており、どんな時でも必ず運命を呪い続けて苦しむもんなんだよ。彼女にはそれがなかったから、自分が危険になったから、好きでこんなことしたんじゃないと言い訳しているようにしか聞こえないんだよねえ。

もうちょっと彼女の懊悩と呻吟をより深く暗いものにして見せる必要があったんじゃねえのかなあ・・・


20話をレビューしたデータを消してしまったようなので全部視聴後に改めてレビューしてみたが、やはり沙子は個人的に好きになれないキャラだな(-"-;)

長い間一人で生きてきた苦労とか、人を襲わなければ生きていけない懊悩とか、自分の存在が異質なものだという呻吟を掘り下げる機会が少なすぎたように見えるなあ。